鳳。コイツは油断できねぇ。先輩たちとは違い、同い年だからと言って、も親しげに鳳と話す。
「――ってことだから。今日は休みなんだって。それじゃ、隣のクラスに言ってくるね。」
「ちょっと待った、。俺が行く。」
「いや、いいよ。私の仕事だし。」
「どうせ、鳳に用があるんだ。」
「そうなの?・・・ついでに、私が伝えておくけど?」
「直接、注意しておきたいんだ。」
「注意・・・?なんか、喧嘩は止めてよ?じゃ、ついでによろしくね。・・・行ってらっしゃい。」
笑いながらは、俺を送り出した。・・・なんか・・・・・・、照れる。いや、そんな場合じゃない。
鳳は同い年だが、俺がと同じクラスだったから、良かった。そう思って、俺は隣のクラスへ行く。
「鳳居るか。」
「日吉?どうしたのー。」
「今日は、部活が休みなんだとよ。」
「・・・・・・いつも思うんだけど。どうして、日吉が?ちゃんに伝えてほしいなぁ、俺としては。」
「たまには手伝ってやるべきだろ。」
「・・・たまに、じゃないくせに。」
「うるさい。」
鳳はと親しげにするだけでなく、俺にまで一々何かと突っ掛かるから、面倒だ。
「ちゃんも、俺と話したいと思うけどなぁ〜。」
「大体、お前は親しげすぎんだよ。なんで、名前で呼んでんだ。」
「だって、ちゃんがいいって言ってくれたし。日吉は許可もらえないの〜?」
あぁ、マジでうぜぇ。
「そんな許可要るか。」
「日吉だって、呼びたいくせに。」
「黙れ。用は、それだけだ。じゃあな。」
「冷たいなぁ、日吉は。ちゃんにヨロシクね〜。で、今度はちゃんに来てほしいって伝えといてー。」
そんな鳳の言葉を一切無視して、俺は教室に戻った。マジで、疲れる。本当なら、わざわざ鳳のクラスになんか行きたくはない。・・・が、を行かすわけにもいかないから、そこは我慢だ。
「おかえり、日吉。伝えてくれて、ありがとう。」
それに、こうしてが笑顔で迎えてくれれば、嫌な気持ちも何処かへ行く。
「いや。」
「日吉が注意して、鳳くんは、何か言ってた?」
楽しそうに話してくるを見て、ふと思った。
「俺はの名前を呼ぶことの許可をもらってないのか、と言っていた。」
「何の話〜?・・・別に、日吉なら許可なんて要らないよ。仲良くない人に、突然言われたら困るけど・・・。日吉や鳳くんは、仲良いからね。」
やっぱりだ。俺は呼び捨てで、鳳は『くん』付け。前から、それに気づいていないわけじゃなかったが、鳳と呼び方の話をしていたところだったから、少し気になった。
「は、俺のことは呼び捨てなんだな。」
「え?ゴメン。嫌だった?」
「いや、その方がいい。鳳には許可をもらっていないのか?」
「ハハ、どうだろう。鳳くんは鳳くんだから、許可は要らないかな。日吉は日吉って、呼びたいかなって。」
「が呼びやすいように呼べばいい。俺もそうする。」
「うん、それが1番だね!私、日吉なら、何て呼ばれてもいいから。」
どういう区別かはわからないが、少なくとも俺の方がクラスも同じで、呼び捨てで呼ばれてるってことは、鳳より仲が良いと考えていいよな?そう思うと、今度はに言いに行かせてやってもいいかと少しだけ思ってやった。
***** ***** ***** ****** *****
さっき、偶然宍戸さんに会った。そして、今日は部活が無いんだって教えてもらった。たぶん、先輩たちの方が早く、情報が回っているんだと思う。その後、俺たち1・2年に、樺地やちゃんが伝えに回るんだろう。そして俺個人には・・・。
「鳳居るか。」
「日吉?どうしたのー。」
「今日は、部活が休みなんだとよ。」
う〜ん、やっぱり日吉か。好きな子と別の男を喋らせたくないって気持ちからだと思うけど、最近、俺には日吉がこういう情報を教えてくれるようになった。
「・・・・・・いつも思うんだけど。どうして、日吉が?ちゃんに伝えてほしいなぁ、俺としては。」
「たまには手伝ってやるべきだろ。」
「・・・たまに、じゃないくせに。」
「うるさい。」
本当、日吉は素直じゃないよなぁ。そして、俺をやたらと敵視する。
・・・そんなことされたら、俺もやり返すよ?
「ちゃんも、俺と話したいと思うけどなぁ〜。」
「大体、お前は親しげすぎんだよ。なんで、名前で呼んでんだ。」
「だって、ちゃんがいいって言ってくれたし。日吉は許可もらえないの〜?」
「そんな許可要るか。」
「日吉だって、呼びたいくせに。」
でも、恥ずかしいんだろ?・・・なんて、そこまで言えば、さすがに本気で怒られるから、止めたけど。
「黙れ。用は、それだけだ。じゃあな。」
「冷たいなぁ、日吉は。ちゃんにヨロシクね〜。で、今度はちゃんに来てほしいって伝えといてー。」
そんな俺の言葉を一切無視して、日吉は教室に戻った。やっぱり、ちゃんをこっちの教室に来させるつもりは無いんだろうなぁ。
・・・なんて、思っていたのに。次の休み時間。
「鳳くん。」
「あれ・・・?ちゃん??」
「さっき、伝え忘れたことがあって・・・。あの、明日の朝練はいつもどおりだから。」
「う、うん・・・。わかったよ、ありがとう。」
久々にちゃんが言いに来てくれた。でも・・・・・・・・・・・・・・・日吉は?
俺は、その疑問をそのまま口に出してしまった。
「日吉は?」
「ん?教室に居るけど・・・?何か用があったの?伝えておこうか?」
教室に居る・・・?!おかしい・・・。教室に居ないのなら、日吉が止められず、ちゃんが来たと考えられるけど・・・。
「日吉、さっきの時間、何か言ってた?」
「さっき・・・?んー。鳳くんと日吉の呼び方について、話したけど・・・。」
「呼び方?」
「うん。鳳くんは私のことを名前で呼ぶし、日吉も呼んでもいいんだよって話とか。私は鳳くんって呼ぶのに、日吉は呼び捨てだとか。結論は、お互い呼びやすいように呼ぼうって話。」
その話のどこかが、いつもの日吉の調子を狂わせたんだ。だけど、俺にはそれがわからなかった。
「そういえば、そうだね・・・。どうして、日吉は呼び捨てなの?」
「え?それは、まぁ・・・。」
俺が探りを入れようと、話を続けた途端、ちゃんが照れだした。・・・あぁ、そういうことか。
さすがの日吉も、この区別の意味が少しぐらいはわかったんだろう。だから、機嫌が良くなって、ちゃんを行かせたんだ。
「その方が日吉との距離を近くに感じられるもんね。」
「う・・・。ま、まぁ・・・。そんなとこ・・・かな・・・。」
「じゃあ、名前で呼べば?」
そう俺が笑顔で言うと、それは無理!とでも言いたいらしく、ちゃんは顔を真っ赤にさせて、首を大きく横に振った。
「あ、ちゃん。早く、教室に戻った方がいいんじゃない?・・・若がちゃんの帰りを待ってるよ?」
「もう・・・!!鳳くんの意地悪・・・!!」
ちゃんは照れと怒りで、更に顔を真っ赤にして、急いで教室に帰って行った。それを見た日吉が、何があったのかとちゃんに聞き、誤魔化すのが大変だったと、またちゃんに怒られた。だけど、誤魔化されてなんかいなかった日吉に、今度は俺が聞かれ、俺も曖昧な返答をしてやったら、もう2度、には行かさねぇなんて言われちゃった。
お互い、好き同士なんだから、早くくっつけばいいのになぁ・・・・・・・・・なんて願っているのは、何も俺だけじゃないって知っているかい、2人とも。
鳳くんは、2人のことを応援しつつも、2人をからかって楽しんでいると思います!(←)・・・何か、そんな人ばっかりな気がしてきたんですが・・・気のせい・・・じゃない、ですかね・・・?(汗)
とりあえず、次は樺地くん。彼は、さすがに大丈夫だと信じましょう(笑)。
あと、今回は初めて、日吉視点と鳳視点での後半の流れをガラッと変えてみました。まぁ、「ガラッと変えた」と言うより、「一方、その頃」的な感じですね。視点が違うのに、直接関わらないから、こんなことになるんです。日吉くん、鳳くん、同い年なんだから、もうちょっと仲良くしようよ!(笑)
('09/11/11)